ANA株主優待券をクロス取引で獲得する手順を解説!<SBI証券編>
「ANA株主優待券」は、ANA株主になることで獲得することができます。普通運賃に比べて40%から50%ほどの割引を受けることができるため、根強い人気があります。また、SFC等の飛行機修行でも活用することができます。株式取引は、通常であれば価格変動によるリスクがありますが、クロス取引を活用すればリスクを抑えて株主優待を獲得することができるため、とってもお得です。当記事では、クロス取引とは?という基本から、SBI証券を利用してクロス取引をするための手順まで、詳しくご紹介していきたいと思います。
更新履歴(2022年2月1日):2022年の情報を追記しました。
目次
株主優待券の獲得に有効なクロス取引とは?
クロス取引概要
株主優待券をリスクとコストを抑えて獲得する方法に「クロス取引」というのがあります。これは、一つの銘柄に対して「現物株の買い」と「信用株の売り」を同じ数量で同時に仕掛ける株式取引の手法(テクニック)です。
株式取引では、通常であれば株価変動により損失を被るリスクが常に付きまといます。特に、株主優待券を獲得できる「権利付最終日」の周辺は、株価の変動が大きくなります。
しかしながら、クロス取引であれば、買いと売りを同時に仕掛けることで、株価変動による損失を避けることができるという仕組みになります。
ちょっと難しいですが、たとえば株が値上がりしたとすると、買いの分は得をしますし、売りの分は損をするので、損と得が相殺されるという感じになります。
クロス取引の注意点
クロス取引を仕掛けた状態で「権利付最終日」を通過すると、現物株を持っていることになりますので、株価変動のリスクなしに株主優待を獲得できるということになります。
そして「権利落ち日」に、信用で売った株を現物で買った株で返済することで、一連の手順が終了します。
ただし、注意点としては、買いにも売りにも手数料が必要となるという点です。ただではクロス取引を行うことはできません。
そのため、クロス取引を行う場合は、必要となる手数料よりも株主優待券の価値が高い銘柄を選択する必要があります。そうしないと、クロス取引を行ってまで株主優待券を手に入れる意味がなくなってしまいますからね。
ANA株主優待券の獲得に必要な株式数は?
ANA所有株式数と獲得できる株主優待券の枚数
ANA株の場合、年2回、株主優待券を獲得できるチャンスがあります。それは「3月末」と「9月末」です。
「3月末」と「9月末」に設定されている「権利付最終日」に必要な現物株を保有していると、その株数に応じて株主優待券を獲得できるという仕組みになっています。
ANA株の場合の、所有株式数と株主優待券の獲得枚数の関係は以下になります。当然ながら、所有株式数が増えれば株主優待券の獲得枚数も増加するという関係になっています。
ただし、400株までは100株ごとに1枚獲得できますが、400株以降は200株ごとに1枚、1,000株以降は400株ごとに1枚、というように、獲得できる枚数が少なくなっていくため注意しましょう。
<所有株式数と株主優待券の獲得枚数の関係>
所有株式数 | 株主優待券の獲得枚数 |
---|---|
100株~199株 | 1枚 |
200株~299株 | 2枚 |
300株~399株 | 3枚 |
400株~999株 | 4枚+400株超過分 200株ごとに1枚 |
1,000株~99,999株 | 7枚+1,000株超過分 400株ごとに1枚 |
100,000株~ | 254枚+100,000株超過分 800株ごとに1枚 |
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ANA株の権利付最終日と権利落ち日
ANA株の株主優待券を獲得するためには、「権利付最終日」と「権利落ち日」を抑えておくことが重要です。
前述のように、「権利付最終日」に必要な株式数を保有していれば株主優待券を獲得できます。一方で、「権利落ち日」以降には、もうその株を手放しても株主優待券の獲得には影響しないという関係になります。
2019年のANA株における「権利付最終日」と「権利落ち日」は以下になります。日付は固定でなく、年によって変動しますので、クロス取引を実施するタイミングで都度確認するのがオススメです。
<ANA株の「権利付最終日」と「権利落ち日」(2019年)>
権利確定日 | 権利付最終日 | 権利落ち日 |
3月末 | 2019年3月26日(火) | 2019年3月27日(水) |
9月末 | 2019年9月26日(木) | 2019年9月27日(金) |
2022年の「権利付最終日」と「権利落ち日」はそれぞれ以下になります。
権利確定日 | 権利付最終日 | 権利落ち日 |
3月末 | 2022年3月29日(火) | 2022年3月30日(水) |
9月末 | 2020年9月28日(水) | 2020年9月29日(木) |
ANA株主優待券の獲得に必要な資金は?
最小株数である100株でも40万円前後の資金が必要
ANAの株価は、2019年3月末の「権利付最終日」である前営業日である2019年3月22日時点の終値で「4,019円」となっていました。
株主優待券を獲得できる最低株式数は「100株」となっていましたので、最低でも約41万円のコストが必要になるということがわかります。200株必要であればその倍、400株であればさらに倍のコストが必要ということで、クロス取引を行うには、それなりの元手が必要となりますので注意が必要です。
また、クロス取引を行う場合、当然ながら証券会社に口座を保有している必要があります。また、信用取引を行うため、信用取引口座の設定を行う必要もあります。
クロス取引に利用可能なネット証券会社は?
クロス取引を行うには「一般信用」の利用がオススメ
前述のとおり、クロス取引を行うには、証券会社に信用取引口座を保有する必要があります。
また、信用取引区分には「制度信用」と「一般信用」の2種類があるのですが、クロス取引を行うには、「一般信用」に対応している証券会社を選択することが重要です。
というもの、信用取引で「売り」を行う場合、論理的には証券会社から株を「借りて」取引を行うことになります(なぜなら、自分ではその株を持っていないわけですから)。
その場合、「制度信用」を利用していると、万が一、証券会社側で「貸し株」が不足した場合に、「逆日歩」という特別な手数料が発生します。
「制度信用」の場合、この手数料は高額になることがあるため、クロス取引を行う場合は避けるべきと言われています。
手数料が高額になってしまうと、株主優待券の獲得で手に入る利益が減ってしまうため、クロス取引を実施する意味がなくなってしまいます。
一般信用を扱っているネット証券会社は限られている
「一般信用」を提供しているの代表的なネット証券会社は以下になりますの。新しく証券会社の口座を開設する場合は以下から選択するのがオススメです。中でも人気があるのは、カブドットコム証券とSBI証券のようです。
<「一般信用」を提供しているのは代表的な証券会社>
- SBI証券
- カブドットコム証券
- 松井証券
- 大和証券
- 岩井証券
私の場合は、古くから「SBI証券」を愛用しているため、今回もSBI証券を利用して、ANA株のクロス取引を実施しました。
記事の後半では、「SBI証券」を利用した場合の、ANA株のクロス取引手順を、画像付きで詳しくご紹介していきたいと思います。
「SBI証券」で口座開設するなら、ポイントサイトを経由するのがオススメです。ポイントサイトを経由するという一手間をかけるだけで、4,000円分のポイントを獲得することができます。詳細は以下の記事をご参照ください。
ANA株のクロス取引手順を解説!<概要>
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クロス取引は3日間に分けて作業する必要がある
さて、それではここからは、ANA株をクロス取引で獲得する手順を解説していきたいと思います。まずは概要ということで、全体像をご紹介します。
全体的には、「権利付最終日の前日まで」「権利付最終日の当日」「権利付最終日の翌日(権利落ち日)」というように、3日間に分けて作業をしていく必要があります。
<クロス取引の取引手順(概要)>
- ステップ1:権利付最終日の前日まで
- 1-1:「一般信用」の「売り」を「寄成」で発注<=「1-2」の「買い」の株数と必ず同数にする!
- 1-2:「現物」の「買い」を「寄成」で発注<=「1-1」の「売り」の株数と必ず同数にする!
- ステップ2:権利付最終日の当日(もしくはステップ1の翌日)
- 2-1:前日までに発注した「売り」と「買い」の両方が成立していることを確認
- ステップ3:権利付最終日の翌日(権利落ち日)
- 3-1:「一般信用」の「売り」を「現渡」して解消
ポイントは、「ステップ1:権利付最終日の前日まで」に行う「一般信用」の「売り」と、「現物」の「買い」で行う株式数は、必ず同数にするというところです。
クロス取引は、同一銘柄の「売り」と「買い」を同数かつ同時に仕掛けることでリスクを回避する手法ですので、これが基本になります。
ANA株のクロス取引手順を解説!<詳細>
それでは続いては、ANA株をクロス取引で獲得する手順を、画像付きで詳しくご紹介していきたいと思います。
私の場合は、2019年3月末の権利確定日で株主優待券を獲得すべく、権利付最終日である「2019年3月26日」の前後で以下に示す一連の作業を実施しました。
ステップ1:権利付最終日の前日まで
この時の、権利付最終日は「2019年3月26日」でした。ここでご紹介する「ステップ1」は、権利付最終日の前日までに行う必要があります。そのため、以下の作業は、通常は前日の「2019年3月25日」の夕方(市場がクローズしてから)に実施する形になります。
「一般信用」の「売り」で必要な貸し株は在庫が限られており、権利付最終日の前日の発注では数が不足する場合があります。
そのため私は今回、権利付最終日の前々日である「2019年3月24日」の夕方(市場がクローズしてから)に以下の作業を実施しました。
前日の行う場合よりも、1日余分に「貸株料」が必要になりますが、安全をみて前々日の発注としています。
ステップ1-1:「一般信用」の「売り」を「寄成」で発注
まずは、「一般信用」の「売り」を「寄成」で発注します。
トップページから「ANA」と入力して検索し、ANA(ANAホールディングス)の詳細画面を表示します。こちらの画面右上から「信用売」を選択します。
「信用売」を選択すると「注文入力(信用新規売)」画面が表示されます。この画面を下にスクロールすると、注文内容を入力する画面が表示されます。
注文内容では、「株数」「価格」「期間」「信用取引区分」を入力していきます。
この時は「200株」の信用売りを実施することにしました。この時、「一般信用」における売建受注残枠を合わせて確認しましょう。ここで在庫切れになっている場合、「一般信用」では売りを仕掛けることはできませんのでご注意ください。
価格としては、翌日の市場オープンとともに成り行きでしかけるため「寄成」を、信用区分としては「一般(15日)」を、期間はその日限りの発注ということで「当日中」を、それぞれ選択します。
その後、注文内容の確認画面が表示されます。内容を確認の後、発注を実施しましょう。
概算注文見積もりとして、諸費用などを確認することができます。手数料として「350円」、貸株料としてい「年利3.9%」が必要であることがわかります。
貸株料が「年利3.9%」とすると、約40万円のANA株の場合、貸株料は1日あたり「約44円」ということになります。今回は200株借りたことになりますので、貸株料は1日あたり「約88円」という計算になります。
その後、以下のような「注意」が表示されます。問題なければ「注文発注」をクリックします。
以上で、「信用新規売」の注文が実施されました。翌営業日発注分として受付られたことが確認できます。
ステップ1-2:「現物」の「買い」を「寄成」で発注
続いては、「現物」の「買い」を「寄成」で発注します。
ANA(ANAホールディングス)の詳細画面を表示し、画面右上から「現物買」を選択します。すると、「注文入力(現物買)」画面が表示されます。この画面を下にスクロールすると、注文内容を入力する画面が表示されます。
注文内容では、「株数」「価格」「期間」を入力していきます。
先ほどの「信用売」で「200株」を指定していましたので、ここでも同数の「200株」を指定します。クロス取引では、同数の株数で売買するのが鉄則です。
価格としては、翌日の市場オープンとともに成り行きでしかけるため「寄成」を、期間はその日限りの発注ということで「当日中」を、それぞれ選択します。
その後、注文内容の確認画面が表示されます。内容を確認の後、発注を実施しましょう。
概算注文見積もりとして、諸費用などを確認することができます。手数料として「487円」が必要であることがわかります。
その後、クロス取引で反対売買を行う事に対する注意が表示されます。内容を確認の後、「注文発注」をクリックします。
以上で、「現物買」の注文が実施されました。翌営業日発注分として受付られたことが確認できます。
ここで、念のため「注文照会」のタブから、現在の発注状況を確認しておきましょう。同一銘柄(ANAホールディングス)、同一株数(200株)で、「信用売(15日)」と「現物買」の注文がスタンバイ状態になっていることがわかりますね。
ステップ2:権利付最終日の当日
ここでご紹介する「ステップ2」は、通常は、権利付最終日の当日の朝(市場オープン後)に行います。権利付最終日の市場クローズのタイミングで、現物株を持っていることが、株主優待券を獲得するための条件になります。
ただし、私の場合は、権利付最終日の前々日に「ステップ1」を実施していましたので、実際は権利付最終日の前日の朝に以下の確認作業を実施しました。
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ステップ2-1:前日までに発注した「売り」と「買い」の両方が成立していることを確認
「ステップ1」を実施した翌日の朝9時以降に「注文照会」のタブをクリックすることで、注文結果が確認できます。以下の画面のように、「信用売」「現物買」ともに、「完了(全部約定)」となっていればクロス取引成功です。
ステップ3:権利付最終日の翌日(権利落ち日)
ここで紹介する「ステップ3」は、権利付最終日に翌日、つまり、権利落ち日に実施します。実際には、権利落ち日以降であればいつ実施しても良いのですが、「貸株料」をなるべく安くするため、権利落ち日に約定されるように実施するのがオススメです。
ステップ3-1:「一般信用」の「売り」を「現渡」して解消
トップページの右上の「口座管理」をクリックします。
その後、以下のような画面に移動しますので、「信用建玉」のタブをクリックします。すると、一番右の「取引」の部分に「現渡」ボタンがありますので、こちらをクリックします。
すると「注文入力(現渡)」画面が表示されますので、「注文株数」を入力します。ここでは、「信用売」していた「200株」を現物株で返済しますので「200株」を入力します。
注文内容の確認として、諸費用などを確認することができます。諸経費として「549円」が必要であることがわかります。
私の場合は、「権利落ち日」の朝に約定されるように、「権利付最終日」の夜にこちらの注文を実施しました。これで、翌営業日である「権利落ち日」の朝に「現渡」が完了します。
実際に、「権利落ち日」に注文照会してみると、前日夜に発注しておいた「現渡」が無事終了していることが確認できました。以上で、クロス取引に関わる作業は全て終了となります。
ANA株のクロス取引に必要としたコスト
上記のANA株のクロス取引実施後、5月中旬になると、手元にANA株主優待券が無事に届きました。200株分となる、2枚のANA株主優待券が同封されていました。
最後に、今回のANA株のクロス取引に必要としたコストを確認したいと思います。まとめると以下のようになります。(取引完了後の取引履歴から抽出しました)
<ANA株のクロス取引に必要としたコスト(200株あたり)>
- 信用売り:350円
- 現物買い:487円
- 現渡し(貸株料含む):778円
- 合計:1,615円
上記のように、ANA株のクロス取引に必要としたコストは、200株あたり「1,615円」となりました。ですので、100株あたり、つまり、株主優待券1枚あたりの取得に必要だったコストは「808円」だったということになります。
ANA株主優待券の買取価格は、2019年8月時点では4,200円前後になっていました(ネット調べ)。ですので、1枚あたり「3,300円」前後の利益ということになります。
ほぼノーリスクで、これだけの利益を得られるというのは、かなり魅力的ですね。
「ANA株主優待券をクロス取引で獲得する手順を解説!」のまとめ
今回は、クロス取引とは?という基本から、SBI証券を利用してクロス取引を実施した場合の手順まで、詳しくご紹介していきました。
クロス取引を行えば、リスクを抑えて株主優待券を獲得することができます。手順に関しても複雑に見えますが、一度実施してみれば、それほど難しくないことが実感できると思います。
ただし、クロス取引を行うには、少なくない資金が必要になります。ですので、軍資金を確保するというのが一番のハードルかもしれません。
手持ちの資金と相談しながら、クロス取引を賢く活用していきたいですね。
「SBI証券」で口座開設するなら、ポイントサイトを経由するのがオススメです。ポイントサイトを経由するという一手間をかけるだけで、4,000円分のポイントを獲得することができます。詳細は以下の記事をご参照ください。
それでは、また!
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